旅は人生を変える【自分の中の価値観が変わる】

  • 2019.08.22
 
旅は人生を変える【自分の中の価値観が変わる】

24歳の時、会社を辞めて旅に出た。今から約15年前の事である。

バンコクから入り、アジア、アフリカ、東ヨーロッパの約30か国を周る、1年半に及ぶ旅だった。正直思っていたよりも、つらい事が多かった旅であったが、これが私の人生を大きく変えた。この経験が私の人生のハイライトだったといってもいいし、これが無かったら今の私は無い。

正直履歴書に書けるようなものでもないし、人に誇れるものでもない。しかし、自分の中ではとても満足しているし、この時旅に出ていなかったら、一生後悔していただろう。

当時は、日本に絶望していた

なぜ旅に出ようと思ったのか。それは、当時の生活に絶望していたからである。

最初に就職した会社で営業職として東京に赴任したのであるが、朝の満員電車、慣れない仕事、終電近くまでの残業、行きたくもない飲み会、行きたくもないゴルフに付き合わされてほとほと疲れ果てていた。こんな生活が延々続くのかと思うと死にたくなってきたし、この会社で自分の10年後が全くイメージできなかった。

石田ゆうすけ氏の「行かずに死ねるか」に出会う

ある休日に、川崎にある本屋でたまたま石田ゆうすけ氏の「行かずに死ねるか」を手に取った。7年半をかけて自転車で世界一周をしたという衝撃的な内容が書かれていた。

アラスカからアメリカ大陸を縦断し、アフリカ大陸も縦断し、ヨーロッパを周り、シルクロードを辿ってユーラシア大陸を横断し日本に戻ってくるという、総走行距離9万5千kmに及ぶ壮大な旅だったそうだ。その旅の中で出会ったユニークな人たち、旅先での起きた事件や様々なエピソードが描かれていたのだが、そのどれもが当時の私に衝撃を与えた。

当時の私は「自由」というものに飢えていたように思う。毎日の時間のほとんどを会社に支配され、やりたいことも出来ず、行きたいところにも行けずという状態だったので、このような自由な生き方に非常に憧れた。

すぐにこの本を購入し、毎日の様に読みふけった。今読み返してみると随分若者向けの本であり、これに影響された自分も若かったのだろうと思う。しかし、この本がきっかけとなり私の人生を変えたことは確かだ。

この本を読むうちに、自分も旅に出たいという気持ちを抑えられなくなってきた。


行かずに死ねるか!―世界9万5000km自転車ひとり旅 (幻冬舎文庫)

会社を辞めて旅へ

いつもの様に会議室で怒られていた時に、上司に「会社を辞めたいと思います」と告げると、結構あっさり「分かった。」という返事が返ってきた。自分の場合は、引き留めに合う様な事はほとんどなかった。恐らくあまり必要とされていなかったのだろう。手続きは順調に進み、約1か月後には退職することが出来た。

当時、大森駅の近くに部屋を借りていたのだが、そこを引き払うと同時にバックパックを背負って成田空港に向かい、バンコクへ飛び立った。

旅での経験

1年半の旅の内容をここに全て書くわけにはいかないのだが、楽しいことも、辛いことも、死にそうになった事もあった。

中国の雲南省では楽しい旅仲間達と出会って酒を飲みながら楽しい時を過ごした。チベットでは地球の原風景ともいえる素晴らしい山岳景色を見ることが出来た。インドでは、両腕のない子供がスケートボードに乗って満面の笑顔で「バクシーシ」をねだってくる力強さを見た。エジプトのダハブでは紅海へダイビングをして、海の中の神秘的な世界に感動した。ナイロビのウィントフックでは、マラリアを発症して死にそうになった。

東ヨーロッパでは、自転車を購入し、チャリダーに変身し、自転車旅行の楽しさも辛さも経験した。トルコのイスタンブールでは恋もした。

どれも、旅に出なければ出会えなかった人達であり、経験できなかったことだろう。あのまま東京で冴えないサラリーマンをしていたら、今頃自殺していたかもしれない。

価値観の変化

この後日本に戻って、色々な仕事を転々とすることになったのだが、特に後悔はしていない。しばらく社会人から遠ざかることによって社会的な地位は低下したのかもしれないが、やりたくもない仕事を延々と続ける人生よりは遥かにマシだったと断言できる。

この経験があったからこそ困難な状況に陥っても、楽観的に考えることが出来るようになったし、サバイバル能力も高まった。嫌なことをやらなくても生きていける事を学んだし、無理に他人に合わせる必要が無いことも学んだ。つまりそれまでの自分の中の価値観が変わったのだ。

何かをやるかやらないかという判断基準は、自分が死ぬときに後悔しないかどうかで決める。この旅以降そのように生きてきたし、これからもそうしていきたいと思っている。

おまけ【「茶壷」氏】

現在世界1周に挑んでいるチャリダーは何人かいるそうであるが、彼らは旅をしながらその様子をインターネット上のブログに公開している。その中で私が定期的にブログを拝見させて頂いているのが「茶壷」氏である。

http://blog.livedoor.jp/tyatsubou/

「茶壷」氏は元消防隊員であったそうであるが、2014年4月から日本一周の旅に出かけ、それが終わった後、船で中国に渡り、アジア、オセアニア、北中米、南米と旅を続け現在はノルウェーを走行中の様である。(2019年8月21日現在)

既に5年以上旅を続けている様であるが、無事に世界一周を成し遂げられることを祈りたい。