砂糖は人間に害をもたらすドラッグだ

 
砂糖は人間に害をもたらすドラッグだ

ドーナツ、チョコレート、クッキー、コーラ、甘いものを食べだすと止まらないという人は多い。なぜ甘いものを食べすぎてしまうかというと、砂糖には強い依存性があるからである。あるネズミを使った実験では、その依存性はコカインをも凌ぐことが証明された。更に砂糖には、うつ、凶暴性、アルツハイマー等の脳への悪影響の他、肥満、ニキビ、皮膚の老化等の身体への悪影響もある。砂糖は万病のもとなのである。

うつ病と低血糖症

世界保健機関(WHO)の報告書によると、うつ病患者は2015年時点で世界で推計3億2200万人に達し、05年比で18%以上も増加しているという。日本でも近年患者が増加していることから、うつ病については多くの人が知る病気になってきている。その原因については、過度のストレス、とりわけ職場の労働環境が原因とされるが、もう一つ見逃してはいけないのが低血糖症である。低血糖症とはその名前から「血糖値が低い事」と誤解されがちだが、実際には「血糖値を調節できず、安定した血糖値を維持できない」病気だ。

通常食事を摂った後は、血糖値が緩やかに上がって、緩やかに下がり、3~4時間後に空腹時とほぼ同じ値になるのであるが、低血糖症患者は、食後に急激に血糖値が上がり、急激に下がり空腹時を下回ってしまう。その後、ずっと低いままで推移したり、乱高下を繰り返したりするのである。

なぜこうなるかというと、砂糖を含む甘いものを摂取するからである。砂糖とはサトウキビやサトウダイコンから、ファイバー、ビタミン、ミネラルを取り除いた純度100%の化学物質で、「クイックカーボ」とも呼ばれる。クイックカーボを大量に摂取すると急激に血糖値が上がり、それを下げるために膵臓からインスリンが放出される。その結果血糖値が下がりすぎてしまう。これが「低血糖症」である。

そして、そういった食事を長年続けているとインスリンを放出する膵臓が疲れ果ててしまい、血糖値を下げる機能が低下する。その結果血糖値が高止まりして「糖尿病」になるのである。

血糖値が低いのが「低血糖症」、高いのが「糖尿病」であり、全く別の病気に見えるのであるが、実際には低血糖症は、糖尿病になる一歩手前の状態である。

低血糖症が引き起こす悪影響

うつ病

低血糖症にかかると、どのような症状がでるのだろうか。1つは先ほど述べたようにうつ病と同じような症状が報告されている。イライラ、頭痛、不眠、倦怠感、集中力の低下等の症状だ。こういった症状が出ると、本人はうつ病だと思い込み、心療内科を受診するのであるが、日本の医師の間では「低血糖症」を理解している者が少ないため、「うつ病」と診断されてしまう。そして「抗うつ薬」を処方され更に症状を悪化させてしまうのである。

暴力

血糖値が安定しないと、暴力的になる人間もいる。1970年代に人類学者ラルフ・ボルトン博士がペルーのクオラ族の研究を行った。クオラ族の住むある村では50%以上の人間が直接または間接的に殺人と関わっていたという。博士がクオラ族の血液の検査をしたところ、血液を提供した全ての男性が低血糖症であった。血糖値が下がりすぎると、血糖値を上げるために副腎から「アドレナリン」が放出される。アドレナリンは怒りのホルモンであり、交感神経を興奮させる。心臓の動きが速まり、血管が収縮して血圧が高まり、戦闘態勢に入る。このために甘いものを食べると、人間は暴力的になるのである。

肥満

また、肥満を招くことも有名である。人間が健康に生きるには血糖値を一定に保つために、ブドウ糖を安定して供給しなければならない。血糖値が一定値よりも低くなると脳が正常に働かなくなる。そこで脳はブドウ糖を手に入れるためにシグナルを出す。イライラ、空腹感、思考能力の衰え、これらを全身にシグナルとして送るので、人間は無意識に甘いものに手をだす。甘いカーボは口にするとすぐにブドウ糖に分解され吸収されるので、血糖値は急激に上がる。その結果、低血糖による不快感が解消され気分がよくなるのである。しかし、これは一時的なもので、先ほど述べたインスリンの分泌により、1~2時間で急激に血糖値が下がる。するとまた低血糖になりイライラし、甘いものを食べる、という負のスパイラルに陥り、食べても食べても空腹状態なので更に食べすぎて、ぶくぶく太ることになるのである。

アルツハイマー病

脳にも悪影響を及ぼす。脳は記憶、計算、判断、創造、その他あらゆる体の動きをコントロールし、五感から届けられる情報も処理している。これだけの働きを担っているので脳のエネルギー消費量は全身の20%を占めていると言われている。当然エネルギー源としてのブドウ糖が必要になってくる。しかし、単にたくさん供給すればいいというものではなく、「質のいいものを安定的に」供給することが重要である。食べてすぐに血糖値を上げるクイックカーボは脳を混乱させ、記憶力を低下させるとされている。脳が必要な時に必要なブドウ糖を脳内に取り入れることが出来ない為とされているが、九州大学の清原裕教授は、糖尿病患者とその予備軍はアルツハイマー病にかかるリスクが4.6倍も高いことを報告している。他にも糖尿病患者は、そうでない人に比べ記憶と学習に障害を起こしやすいことは30以上の論文で報告されている。

砂糖を取り除くことで人生の質は向上する

「You are what you eat」という言葉がある様に、人間の体は食べたものから成り立っている。どんなものを食べるかによって、健康な体になるか、不健康な体になるかが決まり、それが人生の質にまで影響を及ぼすのである。甘いものやクイックカーボの摂取を止め、そのかわりにスローカーボを摂取し、エクササイズをして体を動かし、脳や体の機能低下を抑える必要がある。これが出来るかどうかによって、アルツハイマー病、糖尿病、癌、などのあらゆる病気のリスクを低下させ、快適で質の高い人生を送れるかどうかが決まるだろう。