ロスジェネ対策に効果はあるか?

 
ロスジェネ対策に効果はあるか?

2019年4月10日 安倍首相は、経済財政諮問会議で、バブル崩壊後の「就職氷河期」に社会人となって非正規社員として働く30代半ば~40代半ばの人を対象に、就職支援を強化するよう関係閣僚に指示した。今後3年間の「集中プログラム」を夏までにまとめ、数値目標も掲げる。中途採用を増やす企業への助成拡充などを民間議員が提言したのを受け「氷河期世代への対応は国の将来に関わる重要な課題だ」と応じた。
4/11(木) 12:33(共同通信)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190410-00000147-kyodonews-bus_all

就職氷河期世代(ロスジェネ)とは、1990年代から2000年代初頭にかけて、バブル経済崩壊後のきわめて就職が困難な時代に学校を卒業し、就職活動を行った世代を指す。私も2002年に新卒を迎えた人間なのでこの世代に属する。

そのロスジェネ世代を企業が正社員として雇うと、その企業に助成金を出すという政策を政府が打つそうだ。

当のロスジェネ世代である私の個人的な結論は、「やっても意味なし」である。

スキルの身についていない40代を企業は雇いたくない

最近の就職率はアベノミクス等の影響で90%台らしいが、ロスジェネ世代の就職率は50~60%台であった。私も就職活動には苦しみ、夏まで活動してようやく1社内定をもらった。しかし、当時はあまりこの言葉が流通していなかったが、いわゆる「ブラック企業」であったため、心身ともに疲れ果て、2年で辞めてしまった。
正直この時の経験が、その後の20年近い人生を決めてしまったと言ってもいい。
当時は、「勉強して、いい大学入って、いい会社に就職したら人生安泰」という教育を受けてきたわけである。それなりにその言葉を信じて頑張ってきたのであるが、その通りにしたらとんでもないことになったのだ。
20代前半で無職、金なしコネなし人脈なし。頑張って会社に入っても、ぼろ雑巾の様に捨てられる。当時の私はこの国に絶望したものだった。
その後旅人になったり、フリーターをやったり、個人でBarを開いたり、派遣社員をやったり、SEとして独立したりと、細かいものを含めると20回近い転職を繰り返した。当然大したスキルが身につくわけでもなく、ここまで来てしまったのである。
この状態で、今からどこかの正社員になろうと思っても果たして企業が受け入れるだろうか?

40代から新しいスキルを身に着けるのは困難

私ほど酷くは無くても、ロスジェネ世代の人間は、何度も転職を繰り返している人間が多いだろうし、それを繰り返す内に心が折れ、引きこもりになってしまった人間も多いだろう。そういった人間たちが果たして今更正社員になりたいと思うだろうか?40歳を過ぎた人間が今から新しいことを身に着けることが出来るだろうか?自分よりも若くてキャリアのある人間から指示を受けて仕事をすることが出来るだろうか?

既にロスジェネ向けの助成金制度はあるが、ほとんど使われていない

実は2017年に、ロスジェネ世代の雇用安定化を目的に、「長期不安定雇用者雇用開発コース」という助成金制度が設けられている。失業状態で正社員雇用を希望し、雇入れ日に満35歳以上60歳未満で、過去10年間に5回以上離職または転職を繰り返している人を対象に、雇用した大企業には総額50万円、中小企業には総額60万円が支給されるというものである。

氷河期世代の雇用支援、有効な策はあるのか 助成金利用は予算に対して1割未満

この制度がどの程度使われているかというと、予算10億7860万円に対し、2018年の執行額は約1億2800万円、件数は453件という事である。せいぜい1割というところか。

冒頭の政府の発表は、この制度の利用条件を緩和するというものであるが、助成金の額は変わらない。ちなみに緩和された条件は、

雇い入れ日に満35歳以上60歳未満で、正規雇用労働者として雇用された期間を通算した期間が1年以下であり、雇入れ日の前日から起算して過去1年間に正規雇用労働者として雇用されたことがない人

である。

緩和されたのかどうかよくわからない。

企業もロスジェネ世代も、こんな政策を望んでいない

つまり企業は40代の人間を今から雇いたくない。40代の人間は今更正社員になりたくない。双方にとってLOSE-LOSEなのである。

しかも頑張って雇ったところで、初年度に50~60万円支給されるだけである。

せいぜい企業側が助成金をもらったらすぐに首を切るというような使われ方しかされないのではないか?
こんな政策を打ったところで、効果は無いのではないかと思われる。

政府のロスジェネ対策は、企業も個人も望んでいない