「LEAN INTO IT」 Mr. Big

 
「LEAN INTO IT」 Mr. Big

音楽は、人間の生活に密着したものであり、音楽を聴いたことが無いという人はいないだろう。

決して無くては生きていけないものではないが、あまりにも周りに満ち溢れているので、生きている限り何かしらの音楽に触れることになる。

どんな音楽を好むかは人それぞれであるが、とりわけ若いころに聴いていた音楽は、その人の脳裏に刻み込まれる。

私は、若いころハードロックを中心に聴いていたのだが、最近はほとんど聴かなくなってしまった。しかし、昔聴いていた曲がどこかで流れているのを聴くと、当時を回想してしまう。

ギターが私の青春を奪った

私は14歳からギターを始めたのだが、その影響で曲を聴くと、どうしてもギタープレイに耳が行ってしまうのである。当時ギターが上手くなりたくて、片っ端から有名なギタリストのいるバンドのCDを買い漁っていた。その中でたくさんの素晴らしいギタリストのプレイに触れることが出来たのだが、そのギタープレイが今でも脳裏に焼き付いていて離れない。

恐らく私が最も影響を受けたのは、Paul Gilbert(以下、ポール)である。私の青春を奪ったと言ってもいい。いわずと知れた「Mr. Big」のギタリストである。

ポールの略歴

1986年 「Street Lethal」(レーザーX)でデビュー。閃光のような高速ピッキングで、「光速ギタリスト」と称される。その後、ビリーシーンに誘われ「Mr. Big」を結成。1989年 アルバム「Mr. Big」を発表。「Mr. Big」は、現在までに9枚のスタジオアルバムをリリース。

1999年 「Mr. Big」を脱退。ソロ活動を始める。

「Mr. Big」に加入する前に「レーザーX」は脱退していたのだが、「SNAKEBITE」というオーストラリア在住のDJから、ポップ路線に走っていることをメールで何度も批判されていた為、それに応える形で、「レーサーX」を再結成。同1999年「Technical difficulties」を発表し、「SNAKEBITE 」という曲を収録。この曲は、ポールのスーパーテクニックがふんだんに盛り込まれた「SNAKEBITE」へ向けた曲となっている。

「レーザーX」はライブアルバムを含め、現在までに9枚のアルバムをリリースしている。

「Lean Into It」

数あるアルバムの中でも一番脳裏に刻み込まれているのは、やはり「Lean Into It」である。中でも思い出深い曲を以下に挙げる。

<Green Tinted Sixteen Mind>

この曲のイントロは、「Mr. Big」ファンならずとも一度は聞いたことがあるのではないだろうか。高校1年生の夏休みは、この曲のイントロを弾いていたら終わってしまったという思い出がある。しかし、このイントロはかなり難しく、特にライトハンドを使ったタッピングからのスライド部分の音をきれいに出すのが非常に難しい。しかもその際にどうしても他の弦に触れてしまいノイズ音が出てしまう。ポール本人もレコーディングの際には、4~6弦を外してプレイしたと当時の雑誌で語っていた。

<Daddy, Brother, Lover, Little Boy [The Electric Drill Song]>

「Lean Into It」のファーストナンバーである。当時のギターキッズの間では「ダディブラ」という言葉も生まれるほど人気のナンバーであった。

「The Electric drill song」 という副題がついている通り、イントロ部分とソロパートにマキタ(日本のドリルメーカー)のドリルが使われている。

「何故ドリルを使ったのか」という問いに対してポールは、「速弾き信仰に対する皮肉だよ」と当時の雑誌で答えている。

ただ、私としては、この曲に日本のマキタのドリルを使ったという話題性よりも、この曲のギタープレイに大いに衝撃を受けた。イントロのドリルのノイズ音が終わった後から始まるエッジの効いた攻撃的なリフ、クラシカルな要素を絶妙に取り入れたギターソロ、かなりの速弾きにも拘らず一音一音がクリアに聞こえるピッキングとフィンガリング技術の正確さ。少なくとも100回はこの曲を聴いたと思われる。

<Just Take My Heart>

エリック・マーティンの歌唱力が際立つバラードナンバーである。

ギターシンセを使った印象的なイントロは、ピッキングハーモニクスを絡めることによってより幻想的な色合いを濃くしている。転調して入るギターソロは、音数を控えつつも、とてもエモーショナルで感情を揺さぶられる。

速弾きだけではないポールの魅力が、ふんだんに盛り込まれている曲である。


Lean Into It [Expanded]