好きな事をやっていれば成功するというのは幻想だ

 
好きな事をやっていれば成功するというのは幻想だ

「成功したければ好きなことをやれ」とは、よく言われることである。成功した人間がよくこういう発言をするので、それが正しいことだと思い込むのであるが、実際には好きなことをやって成功する人間というのはごくわずかである。

夢を持つという幻想

誰しもが小学生の頃「将来の夢」というテーマで作文を書いたことがあるだろう。

しかし、それが実現できている人はどの程度いるだろうか。

ほとんどの人間はその夢が実現できずに、子供の頃思い描いていた人生とは全く違う人生を歩んでいるのではないだろうか。

私が幼稚園の頃はパイロットになりたいと思っていた。小学校の頃は水泳選手になりたいと思っていた。中学生になってギターを始めたときは絶対にギタリストになると意気込んでいた。

特にギターについては、本当にハマって20年近く続けていた。好きなことをそれだけ続けていたのであるが、ではそれで成功したのかといわれれば正直「失敗した」と言わざるを得ない。

恐らくギターに費やした時間は全て合計すれば5000時間は超えるだろうし、費やした費用は優に500万円は超えるだろう。それだけの時間と資金を投入してどれだけのリターンがあったかと言えば、せいぜい50万円程度だ。言うまでもなく時間については取り戻せない。

それが好きであればあるほど失うものが大きい

好きな事を続けても、それが将来的に何のメリットもないと早い段階で気づくのであればそれほど問題ない。しかし、その好きな事がどうしても止められず、ずるずると何年も続けてしまうと自分の人生に致命的な損害をもたらす。

人間が何かを身につけられる期間というのは決まっている。個人差はあるが大体の人は40歳を超えてから何か新しい知識や技術を学ぼうとしても不可能なことが多い。

つまり人間の人生というのは若いころに何をやったかで決まる。若いころに将来役に立たないことを何十年も続けると、人生が詰んでしまう可能性が高い。

人間は若いころにやっていたものから逃れられない。長くやっていたものが習慣化してしまうと何も考えずそれをやり続けてしまう。

それが収益を生むものであればよいのだが、1円にもならないようなものだと、どうしようもない貧困に堕ちていく。

その時にようやくこのままではまずいと気付くのであるが、その時にはもう手遅れだ。

夢破れた人間を待つもの

人間は夢破れると深い絶望に見舞われる。自分の人生の大半を費やしてきたものであるから、夢を捨てることは自分の存在する意味を捨てる事と同義である。

すると「自分はダメな人間だ。自分がこの世に存在する価値は無い」と思い込み、そこから逃れられない。

その結果自暴自棄になり、ドラッグやアルコールに依存するようになったり、鬱病になったり、周期的に挫折感に打ちのめされたりする。最悪の場合自殺するケースも有り得る。

夢を持つこと自体は否定しない。それは素晴らしい事であり、夢を追いかけている人の姿というのは美しい。

しかし、夢に浸りすぎて自分を客観的にみることが出来なくなると危険だ。

夢の世界と違って、現実世界というのはとても残酷である。夢を実現する人はごくわずかで、多くの人は努力の甲斐虚しく消えていく

現実をみて、成果を期待しない

ではどうすればいいかというと、まずは現実を見つめるという事が重要だろうと思う。手順としては以下の様になる。

1.1円にもならないことは、いくら好きでも止める。
2.自分に出来る範囲内で、努力すればお金になるものを見つける。
3.それを見つけたら、お金にならないものは捨てて、それに移行する。
4.すぐに成果は出ないが、成果を期待せず淡々とそれを続け、習慣化する。

恐らく最後の「成果を期待せず黙々と続ける」事が最も難しい事ではないだろうか。

これを達成するコツは、「徐々に始める」事ではないかと思う。

例えば、まず1日30分から始める。それが簡単に出来るようになったら1日1時間に増やす、という具合だ。いきなり長時間から始めて、更にすぐに成果を期待すると、挫折感が大きくて続かない。

なんでもそうであるが、体が慣れないうちは少しきついくらいで止めておき、体が慣れてきたら徐々に負荷を増やしていくというのがセオリーだ。

「あまり頑張りすぎない」というのが1つのポイントかと思う。ある意味したたかな人間の方が長続きする可能性が高い。

インターネット上では、何かを始めて3か月で月収100万円を超えたというような情報が飛び交っているが、それが可能なのはほんの一握りの人間であるし、そもそもその情報自体がデマである可能背が高い。

ほとんどの人間は、大した才能を持っていない凡人であるため、小さな努力を積み重ねることでしか、成果を得ることが出来ない。

来年の東京オリンピックが終わった後、この国には更なる衰退が待ち受けている。その為、早く稼いでおきたいという気持ちになるのであるが、冷静さを失えば失うほど、正常な判断が出来なくなり、罠に堕ちやすい。

なかなか先行き不透明な世の中であるが、いかに冷静さを保ちつつ、したたかに生きていけるかどうかがその人の人生を決める事になるだろう。


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