エンジニア系派遣会社の実態

 
エンジニア系派遣会社の実態

「一般社団法人 日本人材派遣協会」によると、H30年9月時点で全国に存在する派遣会社は72,873社だそうである。派遣といっても多種多様な業種があるが、その中でエンジニア系の派遣会社の実態とはどんなものなのか。私はその調査の為、去年の11月から約5か月間、大手のエンジニア系派遣会社で働いてみた。結論から言うと「派遣社員になるべきではない」ということである。

派遣社員の実態を以下で述べていきたい。

作業空間が狭い

派遣会社には、まず正社員として採用され、その上でどこかの会社に派遣される形になる。私の場合は、某大手建築会社のシステム部門に派遣された。しかしそこは悲惨なところであった。

まず、一人一人の机が小さく狭く、そこに座るのも憚られるような空間である。約30名のエンジニアが狭い部屋に詰め込まれるような形で、黙々とパソコンの画面に向かって作業を行う。まるで奪取工場のようだ。私は毎日この部屋に入るのが苦痛であった。

仕事がつまらなさすぎる

派遣先で私に割り当てられた仕事は、データ集計作業だった。データ集計作業というのは、蓄積されている膨大なデータから、客先が希望した条件に合致するデータを抽出し、そのデータを分かりやすい形に加工して提出するというものである。単純作業であるのだが、蓄積されているデータ量が半端ではない為、客先の希望するデータがどこに存在するのかがまず分からない。

当然こんなものは、初めての人間に分かるはずがないので、わかる人間に聞くしかないのだが、すべてを把握している人間というのは存在しない。まず近くの人間に聞き、それでも分からなければ別の人間に聞き、それでも分からなければ、別の部署まで聞きにいかなければならない。

こんな状態なので、データがどこに存在するかを調べる為だけに、時間を奪われていき、気づいたら定時という日もよくあった。

なんのスキルも見につかない

結局5か月の間、データ集計の仕事ばかりしていたので、客先のデータベースのテーブル名や、そこにどんなデータが入っているかという知識だけは身についたが、こんなものは、そこを止めた途端、何の役にも立たなくなる。

それが分かったので、ある日派遣会社に、「ここは、どうにも合わないので早いところ辞めさせて欲しい」という旨の連絡をした。しかし、派遣会社からは、「3か月ごとの契約更新なので、今の契約期間が終わるまではやめることは出来ない」という回答だった。

3か月が経つ頃には、軽い鬱状態になっていて、このまま続けると体に支障が出るというようなことも話したのであるが、それでも回答は変わらなかった。

結局、派遣会社からすれば売上を下げたくないので、とりあえず働ける状態であれば使えるところまで使おうということであろう。

あと2か月はやめられないとわかったので、その後はただ何も考えずひたすらつまらないデータ集計作業を行い、時が過ぎるのを待った。

そして3月末日、ようやく最終日を迎え、その日は定時でさっさと上がり、5か月に渡る派遣社員生活を終えたのであった。

派遣社員の給料

エンジニア系の派遣社員は、給料をどれくらいもらっているのだろうか?もちろん人によってさまざまであろうと思うが、私が実際にいくらもらっていたかを紹介する。

下記は、2か月目の給与明細概要である。

支給 控除
基本給 261,000 労働組合費 600
通勤手当 7,167 雇用保険料 878
法定超残業手当 24,275 健康保険料 12,870
厚生年金保険料 23,790
所得税 6,530

ボーナスは最初の半年~1年間は出ない。前年度の実績では年に2回で3か月という事なので、ボーナスが貰えるようになると年収400万円くらいになるというところか。

派遣会社のマージン

労働契約書には、派遣料金請求額という欄があり、そこには派遣会社が派遣先に請求する平均額が記載されている。私の例だと、「26,904円/日(8時間あたり)」と書かれてあった。

基本給261,000円/月に、会社負担分の保険料1,756 + 12,870 + 23,790 = 38,416円を含め、出勤日数20日で計算すると、14,971円/日である。(雇用保険料は個人負担の2倍、社会保険料は同額で計算)

これから派遣会社のマージンを計算すると約44%である。

[(26904 – 14971) / 26904 =0.44354]

エンジニア系の派遣会社のマージンは平均40%と言われているが、もろもろの福利厚生は含まずに計算しているので、ほぼ一致するというところか。これが高いか安いかはそれぞれの判断によるところだろうと思うが、実際に派遣会社は空前の利益を上げている。

https://www.pasonagroup.co.jp/ir/personal/result/

有名なパソナグループでは、経常利益は毎年25~30%UP。私の勤めたところは六本木ヒルズにオフィスを構えていた。

派遣会社で働くのはお勧めしない

企業は正社員を採用したくないから派遣社員を必要とする。派遣会社はそれで儲けることが出来る。両社にとってwin-winの関係がある以上、これからもこの構造が変わる事はないだろう。

とりあえず、派遣会社で働いていれば、毎月それなりの給料がもらえることは確かだ。

しかし、派遣会社で働けば働くほど心身ともに疲れ果て、何のスキルも身につかず、役目が終われば使い捨てられる事も事実である。

使い捨てられた時にどうなるか。待っているのは過酷な現実である。

可能であれば派遣会社で働くことはお勧めしない。

エンジニア系派遣会社で働くと、何のスキルも身につかず、人生を消耗する